今回は当ブログでも初めて扱い、かつ今までの記事のどの戦型よりもマイナーでありながらも、意外にも厄介な四間飛車穴熊対策である一歩損型の居飛車穴熊を扱います。
この作戦の一歩損とは何か?どこで歩損でするのか?といいますと、ズバリ穴熊の7六(3四)の歩を取らせてしまうのです。いかにも取らせたらダメそうな歩で盲点になりやすいのですがこれがなかなか厄介なのです。
頻度については管理人の四間飛車穴熊データベース上では全1111局中、12局出現。局数としては比較的少数ながら複数のプレーヤーに用いられており、また最近になって数を伸ばしてきているため、対策が必要になる可能性は十分にあるといえるでしょう。
そこでこの記事ではそのメリットとそれに対する対策の方針を考えつつ解説していきます。
先手:一歩損型居飛車穴熊
後手:四間飛車穴熊(io氏)
初手からの指し手
▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二飛 ▲6八玉 △6二玉 ▲7八玉 △7二玉 ▲5六歩 △3二銀 ▲5七銀 △8二玉 ▲7七角 △9二香 ▲8八玉 △9一玉 ▲9八香 △4三銀 ▲9九玉 △5四銀
歩を取らせるという発想
1図は後手が△54銀と出たところで何気ない相穴熊の序盤戦。後手は次に△65銀の狙いがあり、△76銀とされると歩損でまずそうなので普通はこれを受けなければならない。この受け方によって戦型は分岐する。
具体的には▲66歩型居飛車穴熊を目指す①▲66歩が最も多く、次いで②▲66銀も多い。さらには③▲55歩△65銀▲26飛も一応は考えられるところでこの三択であるように見える。
しかし、そもそも前提から疑い、7六の歩をくれてやろう、という発想もある。それが本局の進行で、図から④▲58金右とした。こうして△65銀を許容するのが一歩損型居飛車穴熊である。
後手は△65銀〜△76銀から歩得に成功して不満はないように見える。しかし意外にもこの進行は難解なのである。その理由は歩損に代わる主張が先手にもあるからである。
主張としてはまず、⑴後手の△76銀の働きの悪さである。この銀は先手陣に噛み付いているとはいえず、桂香を持たない限りは攻め駒にも守り駒にもなりにくい遊び駒に近い。かといってすぐに引いてしまうと手損であるし、後述する▲35歩から▲35飛型を築かれると引くことすら難しいということもある。
次に(2)先手が角道を通したまま戦えるということである。普通ならば先手は7六の歩を守るため6六の地点に何か駒がいるのが通常である。しかし、この作戦ではそれがない。また、角を8八に収納して穴熊のハッチとすることで角が安定したまま角筋がストレートに睨んでいる。これによって後手が角道を開けにくい状態を強いらせることができる(角をハッチとするため先手は▲88銀としてはいけない)。
(3)また、お互いに穴熊にかけてる手数が違う分、居飛車は早くに動けるため、戦いになった時の硬さにも差が出やすい。
他にも細かいメリットはあるが、このような⑴〜⑶の主張が居飛車にとっては大きく、歩損しても釣り合いは十分取れているのだ。ちなみに2図まで進んだ局面の筆者のソフトによる評価値は先手が+300前後。ソフトの目から見ても先手の駒組みは有力であるようだ。
1図からの指し手
▲5八金右 △6五銀 ▲7八金 △7六銀 ▲8八角 △8二銀 ▲3六歩
大きな3筋交換
2図は先手が▲36歩と突いたところ。これがこの戦型のミソで、ここまでセットで含めての一歩損居飛車穴熊である。後手としては次の3筋攻めを受けたいが、前述したように先手の角が通っているため△45歩とは突きにくい。▲33角成とされてしまうからだ。そうなると後手は3筋交換を指を咥えて見ているしかないのだが、3筋交換の後の飛車の位置が横にも利いており7六の銀に強烈な制約をかける。このように3筋交換という方針は左辺の形と非常に噛み合っており、後手としては対応しづらいのだ。
本譜も後手は自然な手を重ね、3筋交換をさせた後、満を辞して△45歩と突いたが角交換となるようでは先手良し。陣形差があまりにも大きい。
このように自然な手で後手が悪くなるとなると確かにこの作戦の優秀性が分かるだろう。そこで後手はどうすればよいのか、対策を考えてみたい。
まず、後手の修正点として△71金は大きな手ではあるがいつでも指せる手で優先度は低い。そこでこの手に代えて何か良い手があればよい。
△71金に代えては一歩得を主張しつつ銀の働きを正常化させる△65銀も普通も有力。将来の△76桂などの筋もあり、オススメの方針である。しかし当ブログではもっと突っ張って△94歩という手を推奨する。
何気ない端歩だが▲96歩と突き返してしまうと一気に景色が変わってくる。というのも後手の遊び駒だった銀が将来△85銀などから端攻めの種として使えてくるのだ。端攻めになれば一歩得も活きてきて後手の方針が噛み合ってくる。そのような展開は互角ながら先手がかなり損している。
したがって先手は▲68金寄と固めておくのが自然だが、△95歩と位を主張してどうか。
次に先手は▲35歩△同歩▲38飛から動いてくるだろうがそれは仕方ないと割り切る。△62飛〜△64歩として▲77歩の時の△65銀の余地を作りつつ、どこかで▲35飛車の横利きが消えたタイミングで△85銀を目指す組み立てである。参考図はその一例で先手は▲45桂からいつでも動ける形ながら後手も端攻めの楽しみがあるため反動も大きい。評価値的には参考図でも先手+200〜300台ではあるが、実戦的には後手持って十分戦える形だと思う。
2図からの指し手
△7一金 ▲6八金右 △7四歩 ▲3五歩 △同 歩 ▲3八飛 △4五歩 ▲3五飛 △8八角成 ▲同 銀 △2八角 ▲3七角 △同角成 ▲同 桂 △2八角
先手優勢
2図は後手が△19角成を狙って△28角と打ったところ。これは先手のチャンスで▲55角と打つべきだった。△33歩には▲45桂がぴったりである。
本譜の▲77歩はやや緩手だったところ、そこで△65銀と自重すれば先手良しながらまだまだであったか。この交換は後手が得をしている。
本譜は勢い△87銀成としたため▲同銀で純粋に駒損は痛く先手優勢がはっきりした。以下▲45桂に対して△34歩で無理矢理捌き合ったが、陣形の差が形勢の差となっている。
3図からの指し手
▲7七歩 △8七銀成 ▲同 銀 △1九角成 ▲4五桂 △3四歩 ▲5三桂成 △3五歩 ▲4二成桂 △同 金 ▲5一飛 △8四香 ▲8五歩 △同 香 ▲8六歩 △同 香 ▲同 銀 △9四桂 ▲8八香 △8六桂 ▲同 香 △7三馬 ▲2一飛成 △4一歩 ▲1一龍 △5九飛 ▲8八銀 △6九銀 ▲7九金 △5八銀成 ▲1五角 △7九飛成 ▲同 銀 △5七成銀 ▲同 金 △8七金 ▲8八香 △7八銀
繋がってしまった攻め
大きく進んで4図。後手が苦しいながら馬を引きつけ金底に歩を打つ穴熊らしい懸命な粘りを見せ、さらに玉頭から絡み付いて△78銀とした局面。
ここでは▲同銀△同金▲87銀でさっぱり攻めが切れていて先手勝勢だった。
本譜は▲87香だが△同銀成が香取り。それに対してもソフト曰く▲96金と打っておけばまだ凌いでいるようだが実戦では打ちづらいところだろう。本譜▲85香としてしまい、△84歩の筋が生じては後手の攻めが繋がってしまった。もっとも後手も直ぐに△84歩とすべきで△86香は後述の筋があり先手勝ちコースだった。
4図からの指し手
▲8七香 △同銀成 ▲8五香 △8六香
盲点の正着
5図は先手の手番で先手最後のチャンス。
ここで本譜は▲96銀だがやはり△84歩が痛かった。これで攻めが繋がっている。
実は図では96(76)に銀ではなく金を打つのが見えにくい正着で、▲86金とする余地を作るのが急務だった。以下△84歩には▲65桂△83馬を決めてから▲86金△同成銀▲42角成が厳しい。まずこの馬は8六の成銀にあたっている。そして先手玉は瞬間かなり寄せにくく、△87成銀なら▲95桂で先手一手勝ち。また、当然の△同歩にも▲95桂が厳しくやはり先手勝ちだった。
図で▲96金はやはり見えにくいが、△84歩という手が確実である一方で先手玉へ直ぐには迫れはしないことに気がつけば、攻め合いという発想が生まれ、そのためには▲86金△同成銀とさせて後手の攻めをさらに遅らせる▲96金が導き出せるかもしれない。
5図からの指し手
▲9六銀 △8四歩 ▲同 香 △同 馬 ▲9五桂 △8三歩 ▲3七角
揺るがない勝ち
6図では後手が勝ちになっている。6図では△95馬▲同銀に△78香とすれば一手一手の受けなしであった。もっとも本譜△64香でも進んで△94歩が厳しい。▲88歩には△98成銀〜△95歩が鋭い寄せで先手の受けが次第に難しくなっていく。先手は▲51飛とひと暴れしたいが△62銀が当然ながら冷静で後手勝ちがはっきりした。
6図からの指し手
△6四香 ▲6六歩 △9四歩 ▲8三桂不成△同銀 ▲8八歩 △9八成銀 ▲同 玉 △9五歩 ▲8五金 △9六歩 ▲8四金 △8二香 ▲5一飛 △6二銀 ▲7三角 △5一銀 ▲8三金 △7三桂 ▲9二金 △同 玉 ▲9五香 △8一玉 ▲8四桂 △同 香(投了図)
まで120手で後手の勝ち
投了図以下は後手玉に詰みはなく、先手玉には①△87銀以下の詰みと②△88香成▲同銀△86桂の2通りの詰めろがかかっており、それを受ける▲87銀も△同香成以下詰むため必死がかかっている。
本局は先手のマイナーながら優秀な作戦で先手がリードするも、後手の懸命な粘りが実った一局となった。
この作戦の一歩損とは何か?どこで歩損でするのか?といいますと、ズバリ穴熊の7六(3四)の歩を取らせてしまうのです。いかにも取らせたらダメそうな歩で盲点になりやすいのですがこれがなかなか厄介なのです。
頻度については管理人の四間飛車穴熊データベース上では全1111局中、12局出現。局数としては比較的少数ながら複数のプレーヤーに用いられており、また最近になって数を伸ばしてきているため、対策が必要になる可能性は十分にあるといえるでしょう。
そこでこの記事ではそのメリットとそれに対する対策の方針を考えつつ解説していきます。
先手:一歩損型居飛車穴熊
後手:四間飛車穴熊(io氏)
初手からの指し手
▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二飛 ▲6八玉 △6二玉 ▲7八玉 △7二玉 ▲5六歩 △3二銀 ▲5七銀 △8二玉 ▲7七角 △9二香 ▲8八玉 △9一玉 ▲9八香 △4三銀 ▲9九玉 △5四銀
歩を取らせるという発想
1図は後手が△54銀と出たところで何気ない相穴熊の序盤戦。後手は次に△65銀の狙いがあり、△76銀とされると歩損でまずそうなので普通はこれを受けなければならない。この受け方によって戦型は分岐する。
具体的には▲66歩型居飛車穴熊を目指す①▲66歩が最も多く、次いで②▲66銀も多い。さらには③▲55歩△65銀▲26飛も一応は考えられるところでこの三択であるように見える。
しかし、そもそも前提から疑い、7六の歩をくれてやろう、という発想もある。それが本局の進行で、図から④▲58金右とした。こうして△65銀を許容するのが一歩損型居飛車穴熊である。
後手は△65銀〜△76銀から歩得に成功して不満はないように見える。しかし意外にもこの進行は難解なのである。その理由は歩損に代わる主張が先手にもあるからである。
主張としてはまず、⑴後手の△76銀の働きの悪さである。この銀は先手陣に噛み付いているとはいえず、桂香を持たない限りは攻め駒にも守り駒にもなりにくい遊び駒に近い。かといってすぐに引いてしまうと手損であるし、後述する▲35歩から▲35飛型を築かれると引くことすら難しいということもある。
次に(2)先手が角道を通したまま戦えるということである。普通ならば先手は7六の歩を守るため6六の地点に何か駒がいるのが通常である。しかし、この作戦ではそれがない。また、角を8八に収納して穴熊のハッチとすることで角が安定したまま角筋がストレートに睨んでいる。これによって後手が角道を開けにくい状態を強いらせることができる(角をハッチとするため先手は▲88銀としてはいけない)。
(3)また、お互いに穴熊にかけてる手数が違う分、居飛車は早くに動けるため、戦いになった時の硬さにも差が出やすい。
他にも細かいメリットはあるが、このような⑴〜⑶の主張が居飛車にとっては大きく、歩損しても釣り合いは十分取れているのだ。ちなみに2図まで進んだ局面の筆者のソフトによる評価値は先手が+300前後。ソフトの目から見ても先手の駒組みは有力であるようだ。
1図からの指し手
▲5八金右 △6五銀 ▲7八金 △7六銀 ▲8八角 △8二銀 ▲3六歩
大きな3筋交換
2図は先手が▲36歩と突いたところ。これがこの戦型のミソで、ここまでセットで含めての一歩損居飛車穴熊である。後手としては次の3筋攻めを受けたいが、前述したように先手の角が通っているため△45歩とは突きにくい。▲33角成とされてしまうからだ。そうなると後手は3筋交換を指を咥えて見ているしかないのだが、3筋交換の後の飛車の位置が横にも利いており7六の銀に強烈な制約をかける。このように3筋交換という方針は左辺の形と非常に噛み合っており、後手としては対応しづらいのだ。
本譜も後手は自然な手を重ね、3筋交換をさせた後、満を辞して△45歩と突いたが角交換となるようでは先手良し。陣形差があまりにも大きい。
このように自然な手で後手が悪くなるとなると確かにこの作戦の優秀性が分かるだろう。そこで後手はどうすればよいのか、対策を考えてみたい。
まず、後手の修正点として△71金は大きな手ではあるがいつでも指せる手で優先度は低い。そこでこの手に代えて何か良い手があればよい。
△71金に代えては一歩得を主張しつつ銀の働きを正常化させる△65銀も普通も有力。将来の△76桂などの筋もあり、オススメの方針である。しかし当ブログではもっと突っ張って△94歩という手を推奨する。
何気ない端歩だが▲96歩と突き返してしまうと一気に景色が変わってくる。というのも後手の遊び駒だった銀が将来△85銀などから端攻めの種として使えてくるのだ。端攻めになれば一歩得も活きてきて後手の方針が噛み合ってくる。そのような展開は互角ながら先手がかなり損している。
したがって先手は▲68金寄と固めておくのが自然だが、△95歩と位を主張してどうか。
次に先手は▲35歩△同歩▲38飛から動いてくるだろうがそれは仕方ないと割り切る。△62飛〜△64歩として▲77歩の時の△65銀の余地を作りつつ、どこかで▲35飛車の横利きが消えたタイミングで△85銀を目指す組み立てである。参考図はその一例で先手は▲45桂からいつでも動ける形ながら後手も端攻めの楽しみがあるため反動も大きい。評価値的には参考図でも先手+200〜300台ではあるが、実戦的には後手持って十分戦える形だと思う。
2図からの指し手
△7一金 ▲6八金右 △7四歩 ▲3五歩 △同 歩 ▲3八飛 △4五歩 ▲3五飛 △8八角成 ▲同 銀 △2八角 ▲3七角 △同角成 ▲同 桂 △2八角
先手優勢
2図は後手が△19角成を狙って△28角と打ったところ。これは先手のチャンスで▲55角と打つべきだった。△33歩には▲45桂がぴったりである。
本譜の▲77歩はやや緩手だったところ、そこで△65銀と自重すれば先手良しながらまだまだであったか。この交換は後手が得をしている。
本譜は勢い△87銀成としたため▲同銀で純粋に駒損は痛く先手優勢がはっきりした。以下▲45桂に対して△34歩で無理矢理捌き合ったが、陣形の差が形勢の差となっている。
3図からの指し手
▲7七歩 △8七銀成 ▲同 銀 △1九角成 ▲4五桂 △3四歩 ▲5三桂成 △3五歩 ▲4二成桂 △同 金 ▲5一飛 △8四香 ▲8五歩 △同 香 ▲8六歩 △同 香 ▲同 銀 △9四桂 ▲8八香 △8六桂 ▲同 香 △7三馬 ▲2一飛成 △4一歩 ▲1一龍 △5九飛 ▲8八銀 △6九銀 ▲7九金 △5八銀成 ▲1五角 △7九飛成 ▲同 銀 △5七成銀 ▲同 金 △8七金 ▲8八香 △7八銀
繋がってしまった攻め
大きく進んで4図。後手が苦しいながら馬を引きつけ金底に歩を打つ穴熊らしい懸命な粘りを見せ、さらに玉頭から絡み付いて△78銀とした局面。
ここでは▲同銀△同金▲87銀でさっぱり攻めが切れていて先手勝勢だった。
本譜は▲87香だが△同銀成が香取り。それに対してもソフト曰く▲96金と打っておけばまだ凌いでいるようだが実戦では打ちづらいところだろう。本譜▲85香としてしまい、△84歩の筋が生じては後手の攻めが繋がってしまった。もっとも後手も直ぐに△84歩とすべきで△86香は後述の筋があり先手勝ちコースだった。
4図からの指し手
▲8七香 △同銀成 ▲8五香 △8六香
盲点の正着
5図は先手の手番で先手最後のチャンス。
ここで本譜は▲96銀だがやはり△84歩が痛かった。これで攻めが繋がっている。
実は図では96(76)に銀ではなく金を打つのが見えにくい正着で、▲86金とする余地を作るのが急務だった。以下△84歩には▲65桂△83馬を決めてから▲86金△同成銀▲42角成が厳しい。まずこの馬は8六の成銀にあたっている。そして先手玉は瞬間かなり寄せにくく、△87成銀なら▲95桂で先手一手勝ち。また、当然の△同歩にも▲95桂が厳しくやはり先手勝ちだった。
図で▲96金はやはり見えにくいが、△84歩という手が確実である一方で先手玉へ直ぐには迫れはしないことに気がつけば、攻め合いという発想が生まれ、そのためには▲86金△同成銀とさせて後手の攻めをさらに遅らせる▲96金が導き出せるかもしれない。
5図からの指し手
▲9六銀 △8四歩 ▲同 香 △同 馬 ▲9五桂 △8三歩 ▲3七角
揺るがない勝ち
6図では後手が勝ちになっている。6図では△95馬▲同銀に△78香とすれば一手一手の受けなしであった。もっとも本譜△64香でも進んで△94歩が厳しい。▲88歩には△98成銀〜△95歩が鋭い寄せで先手の受けが次第に難しくなっていく。先手は▲51飛とひと暴れしたいが△62銀が当然ながら冷静で後手勝ちがはっきりした。
6図からの指し手
△6四香 ▲6六歩 △9四歩 ▲8三桂不成△同銀 ▲8八歩 △9八成銀 ▲同 玉 △9五歩 ▲8五金 △9六歩 ▲8四金 △8二香 ▲5一飛 △6二銀 ▲7三角 △5一銀 ▲8三金 △7三桂 ▲9二金 △同 玉 ▲9五香 △8一玉 ▲8四桂 △同 香(投了図)
まで120手で後手の勝ち
投了図以下は後手玉に詰みはなく、先手玉には①△87銀以下の詰みと②△88香成▲同銀△86桂の2通りの詰めろがかかっており、それを受ける▲87銀も△同香成以下詰むため必死がかかっている。
本局は先手のマイナーながら優秀な作戦で先手がリードするも、後手の懸命な粘りが実った一局となった。
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