本局は四間飛車穴熊側が敗れた一局を紹介します。
選んだ理由としてはやや独特気味の四間飛車穴熊を好む後手R氏の棋譜から、一般的な局面のある棋譜を選ぶのに苦心したというのもありますが、やはり1図の局面の重要性が高いことに尽きるでしょう。それにうまくいった棋譜ばかりではなく失敗例から学ぶことも勉強になります。そういった点でこの棋譜は1図からどのような負けパターンがあるかについて知っておくのに非常に有用な棋譜だと思います。
選んだ理由としてはやや独特気味の四間飛車穴熊を好む後手R氏の棋譜から、一般的な局面のある棋譜を選ぶのに苦心したというのもありますが、やはり1図の局面の重要性が高いことに尽きるでしょう。それにうまくいった棋譜ばかりではなく失敗例から学ぶことも勉強になります。そういった点でこの棋譜は1図からどのような負けパターンがあるかについて知っておくのに非常に有用な棋譜だと思います。
先手:居飛車穴熊▲66銀型
後手:四間飛車穴熊 (R氏)
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲2五歩 △3三角
▲4八銀 △3二銀 ▲6八玉 △4二飛 ▲7八玉 △6二玉
▲5六歩 △7二玉 ▲5七銀 △8二玉 ▲7七角 △4三銀
▲8八玉 △9二香 ▲9八香 △5四銀 ▲6六銀 △6四歩
▲7八金 △9一玉 ▲9九玉 △8二銀 ▲8八銀 △5二金左
▲6八角 △4五歩 ▲5九金 △6二金寄 ▲6九金 △6五歩
▲7七銀引 △6三銀 ▲3六歩 △5四歩
1図は居飛車穴熊▲66銀型と現代の四間飛車穴熊の相穴熊を語る上では欠かせないような重要局面といえる。1図から▲79金寄も一般的で、その場合は△55歩▲24歩という将棋になる。(参考図)こちらもそのうち取り上げることだろう。
本譜は▲24歩~▲35歩と仕掛けていった。▲35歩に対して△同歩▲同角△32飛は▲62角成~▲43金がうるさい。そのため▲35歩には△32飛が習いある手である。
対して先手は▲79金寄△35歩▲37桂が有力とされており、以下△42角〜△34飛が本筋とされている(2010.6、大和証券杯、深浦ー広瀬、2013.6.順位、阿部光ー増田)。
1図は居飛車穴熊▲66銀型と現代の四間飛車穴熊の相穴熊を語る上では欠かせないような重要局面といえる。1図から▲79金寄も一般的で、その場合は△55歩▲24歩という将棋になる。(参考図)こちらもそのうち取り上げることだろう。
本譜は▲24歩~▲35歩と仕掛けていった。▲35歩に対して△同歩▲同角△32飛は▲62角成~▲43金がうるさい。そのため▲35歩には△32飛が習いある手である。
対して先手は▲79金寄△35歩▲37桂が有力とされており、以下△42角〜△34飛が本筋とされている(2010.6、大和証券杯、深浦ー広瀬、2013.6.順位、阿部光ー増田)。
本譜のような▲34歩の取り込みは後の△64角(2図)が好手になり後手ペース、実際四間飛車穴熊の急所2(192P)には2図の局面が「振り飛車指せる」とされている。しかしその展開も簡単ではないことが本譜の進行を見ればお分かりだろう。
1図からの指し手
▲2四歩 △同 歩
▲2四歩 △同 歩
▲3五歩 △3二飛 ▲3四歩 △4二角 ▲3八飛 △6四角
2図から先手の▲35飛と浮いたのが継続手。前例として深浦ー広瀬戦(2010.8.王位)をおさえておきたい。その対局は△19角成に▲22歩△55歩と進行した。
本譜は△19角成に▲37桂(途中図)であったがこちらもソフト的には最善である。
それに対して後手は前述の前例が頭にあったのか△55歩とした。しかしこれが緩手になってしまうのだから将棋は恐ろしい。この手に▲45桂が当然ながら厳しく、先手の駒がすべて捌ける格好となった。この局面は評価値的にはもちろん実戦的にもその後の展開は勝ちにくくなってしまっている。
途中図では△28馬とじっと引きつけて▲45桂に△17馬を用意するのが急所だった。対して飛車を逃げればどこでも△44馬と急所にもってきて後手よしのようである。そこで▲33歩成と勝負するが、△同桂▲同桂成(▲同飛成には△同飛▲同桂成△39飛が両取り)△35馬▲32成桂△53馬と進めてどうか(参考2図)。難解な勝負だが、先手の金がくっついていない分少し後手を持ちたい。
▲3五飛 △1九角成 ▲3七桂 △5五歩 ▲4五桂 △5二飛
途中図では△28馬とじっと引きつけて▲45桂に△17馬を用意するのが急所だった。対して飛車を逃げればどこでも△44馬と急所にもってきて後手よしのようである。そこで▲33歩成と勝負するが、△同桂▲同桂成(▲同飛成には△同飛▲同桂成△39飛が両取り)△35馬▲32成桂△53馬と進めてどうか(参考2図)。難解な勝負だが、先手の金がくっついていない分少し後手を持ちたい。
▲3五飛 △1九角成 ▲3七桂 △5五歩 ▲4五桂 △5二飛
▲3三歩成 △5四飛 ▲4六角 △2九馬 ▲5五歩 △6四飛 ▲3八歩
3図は悪いながら最後の勝負所。人間的には苦しそうなのに変わりはないが、ソフトによれば図で△18馬と桂に狙いをつけるのが参考にすべき粘りのテクニックで、▲43とに△34歩を用意(取れば△45馬)し、けん制している。なかなか筆者的には浮かばない手だが確かに使えていない馬を使うというのは自然な発想であり、45の桂馬が要の駒であることに気がつけばこの手が浮かぶだろう。是非真似したい手だ。
本譜は△56歩と垂らしたが▲43とを喫してしまっては粘りようがない。
△5六歩 ▲4三と △3四香 ▲5三と △3五香
▲同 角 △7二金寄 ▲6三と △同 飛 ▲5三桂成 △1八馬
▲5四歩 △5七歩成 ▲6三成桂 △同 金 ▲5三歩成 △3九飛
▲5九歩 △6七と ▲同 金 △3八飛成 ▲6三と △同 馬
▲3一飛 △5一歩 ▲6二歩 △7一金 ▲5三角成 △8八龍
▲同 銀 △5三馬 ▲5一飛成 △4四馬 ▲7七銀打 △1二角
▲6一歩成 △6七角成 ▲7一と △同 銀 ▲7八金打 △同 馬
▲同 金 △6九銀 ▲4二飛 △7二金 ▲4四飛成 △7八銀成
▲4五角 △6六桂 ▲7九香 △7七成銀 ▲同 銀 △5四歩
▲4二龍上 △6二銀打 ▲2一龍 △6九金 ▲8八銀打 △4四歩
▲2三角成 △6八金打 ▲6四桂 △7九金上 ▲7二桂成
まで125手で先手の勝ち
投了図では△同銀としても▲82金以下の詰みがあり受けも難しい。
一方先手玉は23の馬も強くZ、ここでは大差がついてしまい投了もやむを得ない。相穴熊戦では二転三転する展開も多いが、序中盤で右辺(左辺)を制圧されてしまうと本局のように大差になることも決して珍しくない。その点で序中盤の知識の重要性はやはり高いといえよう。
本局でもっとも重要なのは1図、2図周りで押さえ込まれないように正しく指すこと。ここはかなり難しいところだが、その場で考えて思いつくとも限らないので、こういった重要局面では最善の手順を一つずつ丸暗記してしまうのも手だろう。
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