24強豪の棋譜から学ぶ四間飛車穴熊

 この記事では戦型ごとに記事を分類し、気になる戦型の記事に素早く辿り着けるようにしました。現在公開されているものについては文字の部分がリンクになっており、そこから該当する記事へワンクリックで飛べるようになっています。また、未公開のものについても公開予定日を予告しています。
 初めて当ブログにお越しいただいた方には「はじめに(当ブログについて)」から読んでいただけるとコンセプトが分かるかと思います。
 是非当ブログのもくじのように使っていただければと思います。
 なお戦型分類について、分類が難しい将棋については筆者の主観、実戦での駒組の類似性などを念頭に分類してあります。
*11月分に関しても更新日がずれ込む可能性が高いです。
(最終更新23.1.29)

〜〜お知らせ〜〜
はじめに(当ブログについて)

目次のアップデートと更新頻度のお知らせ(2021.4.1)

・更新頻度変更と寄稿募集のお知らせ(2023.3.14)

〜〜質問用記事・回答用記事〜〜
質問大募集!
(直接個別の記事とは無関係な、四間飛車穴熊全般、将棋、ブログ関係等の質問、コメントはこちらへ)
あなたの質問お答えします①

〜〜メインコンテンツ〜〜
相穴熊
・vs居飛車穴熊△4四銀型 
 【第一局】
 (先・広瀬流vs△44銀型)
 【第十六局】
 (先・箱型穴熊+▲37角転換vs居飛車ビッグ4)
 【第二十七局】
 (先・箱型穴熊vs居飛車穴熊△55歩型)
    【第五局】
 (後・広瀬流vs▲66銀型+▲69金型(金保留型))
 【第三十三局】
 (後・箱型穴熊vs▲66銀型)
 【第三十四局】
 (後・箱型穴熊vs▲66銀型→△45歩〜角交換型)
 【第三十八局】
 (後・広瀬風vs居飛車穴熊▲55歩型)

・vs居飛車穴熊△4四歩型
 【第四局】
 (先・四間→右四間+▲58金vs△44歩型+△43金型穴熊)
 【第二十六局】
 (先・四間→右四間+▲49金左vs△44歩+箱型穴熊)
 【第二局】
 (後・四間→右四間+△52金vs▲66歩型+箱型穴熊
  →△65歩▲同歩△同銀の仕掛け)     
 【第十四局】
 (後・四間飛車維持+箱型vs▲66歩型+箱型穴熊)
 【第十五局】
 (後・四間飛車維持+箱型vs▲66歩型+箱型穴熊)
 【第十九局】
 (後・四間→右四間+△52金vs▲66歩型+箱型穴熊
  →△65歩▲同歩△77角成の仕掛け)  
 【第二十四局】 
 (後・四間飛車維持型+箱型穴熊+端歩突き越しvs▲66歩型+箱型穴熊)
 【第二十五局(自戦記)】  
 (後・四間→右四間+△52金vs▲66歩型+▲67金型穴熊)
 【第二十九局】
 (後・四間→右四間+△52金vs▲66歩型+箱型穴熊→▲55歩〜▲36歩)
 【第三十六局】
 (後・四間飛車維持型+箱型穴熊+端歩突き越しvs▲66歩型+箱型穴熊+▲59角〜▲37角)

・その他相穴熊
 【第二十一局】
 (後・後手△76銀一歩得(損)型相穴熊)
 【第三十局】
 (先・四間飛車穴熊vs5筋不突き居飛車穴熊)

美濃系
・対銀冠
 【第二十局】
 (先・新▲47金+▲45歩型(急所本改良案)vs銀冠)
 【第三十七局】
 (先・▲47金+▲38飛型vs△43歩型銀冠)
 【第三局】
 (後・箱型+△44銀型vs先手最序盤▲66歩型銀冠)
 【第十三局】
 (後・△54銀に▲66歩→後手箱型〜△73銀型穴熊)
 【第四十一局】
 (後・△54銀に▲66歩→後手箱型〜△73銀型穴熊)

・対銀冠穴熊
 【第八局】
 (後・△42飛→△72飛型vs銀冠穴熊)

・天守閣美濃
 【第六局】
 (先・四間→三間vs居飛車天守閣+袖速攻)
 【第十局】
 (後・箱型穴熊+△73角転換vs天守閣→4枚銀冠)
 【第十八局】
 (後・四間飛車穴熊vs天守閣美濃強制型)

左美濃・高美濃
 【第四十二局】
 (後・四間飛車穴熊vs高美濃〜▲65歩仕掛け)

△4四角型
・ミレニアム 
 【第九局】
 (先・三間飛車転換型vsミレニアム)
 【第十二局・前編】
 【第十二局・後編】
 (先・▲56歩〜▲57金に△44歩→▲55歩〜5筋攻防)
 【第三十二局】
 (先・▲56歩〜▲57金に△44歩→持久戦)
 【第十一局】
 (後・△54歩〜△53金型vsミレニアム)

・地下鉄 
 【第七局】
 (先・▲45歩+▲46金+▲35歩型vs地下鉄)
 【第三十九局】
 (後・△54銀+△64歩型vs地下鉄)

・△4四角型その他
 【第三十一局】
 (後・△54歩〜△53金型vsジグザグ+袖飛車)

急戦
 【第十七局】
 (先・四間飛車穴熊vs△73桂△64銀△84飛)
 【第二十二局】
 (後・四間飛車穴熊vs棒銀)
 【第二十八局】
 (後・四間飛車穴熊vs▲45歩早仕掛け)
 【第四十局】
 (後・四間飛車穴熊vs elmo急戦)

その他
 【第二十三局】
 (先・四間飛車穴熊vs右四間飛車+穴熊)
 【第三十五局】
 (後・四間飛車穴熊vs糸谷流右玉)

〜四間飛車穴熊vs銀冠穴熊徹底研究シリーズ〜
part0  〜テーマ図に至るまで〜
part0.5〜テーマ図に至るまで〜
part1~テーマ図からの4つの選択肢~
part2〜発想の転換〜      
part3(完)〜二つの指針〜  

〜最速最強対ミレニアム生物流シリーズ〜
part0 〜生物流の形と最序盤の駒組み〜
part1 〜対▲5七角型の成功例〜
part2 〜難敵▲5七銀型〜  
part3 (完)〜生物流の利点△5三銀〜

〜居飛車穴熊▲66銀型考察シリーズ〜
・part1 〜最強の構え?〜

〜対居飛車穴熊▲6六歩型vs△6一飛+△5二金ガチ研究シリーズ〜
・part0 〜はじめに~
・part1 ~△6五歩▲2四歩△同歩▲6五歩△6六歩▲2二歩の変化~
・part2 〜△6五歩▲2四歩△同歩▲6五歩△6六歩▲3五歩の変化~
・part3 〜△6五歩▲2四歩△同歩▲3五歩の変化①〜
・part4 〜△6五歩▲2四歩△同歩▲3五歩の変化②〜
・part5〜△6五歩▲同歩△同銀▲3三角成の変化①〜
・part6〜△6五歩▲同歩△同銀▲3三角成の変化②〜
・part7〜△6五歩▲同歩△同銀▲3三角成の変化③〜
・part8〜△6五歩▲同歩△同銀▲2四歩の変化①〜

〜四間飛車穴熊vs天守閣美濃徹底研究シリーズ〜
・part0 〜速攻型と持久戦型〜  (未定)
・part1 〜対速攻型の指針①〜  (未定)

〜寄稿〜
▲6六角型をぶっ壊せ!(モノクロさん)

〜2020年プロ棋界まとめ〜
2020年プロ棋界を振り返る〜前編・公式戦〜
2020年プロ棋界を振り返る〜中編・Abema予選〜
2020年プロ棋界を振り返る〜後編・Abema本戦+おまけ〜

〜2021年プロ棋界まとめ〜
2021年プロ棋界を振り返る〜上半期編①〜
2021年プロ棋界を振り返る〜上半期編②〜
2021年プロ棋界を振り返る〜下半期編①〜
2021年プロ棋界を振り返る〜下半期編②〜
2021年プロ棋界を振り返る〜まとめ〜

〜級位者向け四間飛車穴熊を指そうシリーズ〜
part1 四間飛車穴熊って何?
part2 急戦を「なんとかする」方法①
part3 急戦を「なんとかする」方法②
・part4 銀冠をなんとかする方法①
・part5 銀冠をなんとかする方法②
・part6 銀冠をなんとかする方法③
・番外編 part1 穴熊の終盤の考え方①
・番外編 part2 穴熊の終盤の考え方②
・番外編 part3 穴熊の終盤の考え方③

〜詰み筋を暗記するシリーズ〜
【第一番】二段目二枚飛車①
【第二番】一段目二枚飛車①
【第三番】一段目一枚飛車①

〜〜棋書関係〜〜
「四間飛車穴熊のすべて」発売前予想

「四間飛車穴熊のすべて」雑レビュー

〜〜四間穴データベースでみる課題局面探求〜〜
(未定)

~~その他ブログ内コンテンツ~~
▲3六歩のメリット10選

端攻め△1七〇〇への対処法まとめ

四間飛車穴熊は弱いのか?

四間飛車穴熊は強い!?四間飛車穴熊の利点4選

24で流行の戦型は?四間飛車穴熊データベース分析 (2021年1月分まで集計)
 
 →・最新版四間飛車穴熊データベース分析
  (2021年4月途中分まで集計)

ブログ開設半周年記念!次の一手7問総集編

四間飛車穴熊と相性の良い戦型選択考察

〜プライバシーポリシーなど〜
プライバシーポリシー・免責事項

お問い合わせフォーム

 本局は、いままで扱ってこなかった対高美濃の将棋を扱います。この戦型の特徴は、銀冠に比べて穴熊側の態勢が整っていないこと、それゆえに居飛車から▲65歩と角交換を迫る攻め筋が脅威である点が特徴的で、対策が必要です。
 また、本局の四間飛車側はGr氏。おそらく初登場となります。高段帯の中でも高いレートを誇り、かつ四間飛車穴熊の採用率もまずまず高いプレーヤーです。そして本局では、居飛車側は前回の【第四十一局】で登場したme氏です。四間飛車穴熊を知るプレーヤーが四間飛車穴熊に対してどういった作戦を採用するのかという点からも面白い好局です。

先手:居飛車高美濃(me氏)
後手:四間飛車穴熊(Gr氏)
▲7六歩      △3四歩      ▲2六歩      △4四歩      ▲2五歩      △3三角 ▲4八銀      △4二飛      ▲6八玉      △3二銀      ▲7八玉      △6二玉 ▲5六歩      △7二玉      ▲5七銀      △8二玉      ▲7七角      △4三銀 ▲8八玉      △5四銀      ▲6六歩      △9二香      ▲5八金右    △9一玉 ▲6七金      △8二銀      ▲7八銀      △7一金      ▲3六歩   
 

避けられない角交換?
 図は先手が高美濃に組んだ後、▲36歩と突いた局面。
 ここで本譜の△45桂は必然の一手に近い。なぜなら次に▲35歩△同歩▲38飛のように動かれて3筋の歩を交換されると居飛車が大きく得をするからだ。この感覚はおそらく四間穴党であれば誰しも共通するのではないかと思う。少なくとも筆者はこの記事を書くまではそう思い込んでいた。そこで▲36歩に△45歩とすることで▲38飛に△44角の余地を作る必要があるのだ。
 しかし黙って△52金と上がっておき、▲35歩△同歩▲38飛に△32飛▲35飛△32銀と進めると、互角、むしろ評価値的には(誤差の範囲ではあるが)わずかに後手に触れるようだ。

 以下は何をしてきても△42角で飛をぶつける。そうなれば後手まずまずのようだ。
 したがって、△45歩は必須の一手ではなく、むしろ△52金の方が良いかもしれない。
 本譜のように△45歩を突くと、いつでも▲24歩〜▲65歩で角交換の権利が先手にある将棋となる。この将棋は同じ美濃系統の将棋に見えて対銀冠とは大きく異なる将棋だ。本譜は両者力を溜めて次の図へ
図からの指し手
△4五歩 ▲9六歩      △9四歩      ▲8六歩      △5二金 


開戦
ここで先手は突き捨てを入れずに▲65歩と角交換を発動した。△同銀に代えては△77角成▲同桂△33角もあるところで悩ましいが、△同銀は2筋の突き捨てが入っていないことを咎めにいく手で、場合によっては△39角と△76銀の筋を絡めた攻めをみている、攻め棋風の人にとって参考にすべき一手である。
 △同銀に▲24歩としたのに対し、もちろん△同歩も有力だが、やはり後手は攻めの姿勢を見せる。
 なお押さえておきたい△同歩以下の展開として、▲33角成△同桂▲24飛が考えられる。

 しかしそこでは△46歩が類型でも応用可能な覚えておくべき急所。▲同歩には△45桂!が△33角を狙ってぴったりの手となり、▲同銀なら△38角と支えの歩を狙って攻めが繋がりそうだ。その展開は形勢は互角だが、穴熊で攻められる後手が満足だろう。

図からの指し手
▲6五歩      △同 銀 ▲2四歩      △7七角成    ▲同 桂
     

うるさい噛みつき
 ここで後手は△39角。
 以下▲38飛△57角成▲同金△46歩▲同金△66銀と取られそうな銀が急所に出てきて、形勢はともかく先手陣に一方的に噛み付いた格好で後手がペースを握った。
 なお△39角はこの局面での最善ながら厳密には無理攻めのようだ。▲38飛に代えて▲58飛が安定した位置で、以下△46歩▲同歩△45歩と攻めるのが有力だが、▲65桂△46歩▲48歩で先手よし。とはいえそこからも△28角成でまだまだ後手は攻めれる展開なので、攻め棋風であればこれはこれでというところだろうか。
図からの指し手
△3九角      ▲3八飛      △5七角成 ▲同 金      △4六歩      ▲同 金      △6六銀      ▲2三歩成    △4五歩 ▲5五金      △4六歩      ▲2八飛      △5五銀      ▲3二と      △4四飛 ▲5五歩      △4七歩成    ▲9五歩
     

端への対処方針
 図は先手が▲95歩と突いたところ。やや先手が紛れを求めている印象だ。
 本譜は△同歩とした。しかし、▲93歩〜▲85桂〜▲93香成〜▲96香で端の主導権を先手が握り、一転先手がペースを握った。
 こういった優勢時の端への対処方針は極めて難しくケースバイケースであるため、手抜くべきだったと後から結果論で物を語るのはナンセンスであろう。
 ただ、▲85桂の余地のある高美濃相手において、歩を複数持たれており、かつ穴熊側に明快な攻めがある場合には▲95歩を手抜いて攻めあう方が良いケースがやや多いような印象だ。本局では△57と▲94歩△27歩▲同飛△68銀と絡めば優勢を維持できたようだ。

図からの指し手
△同 歩      ▲9三歩      △同 香 ▲8五桂      △9六歩      ▲9三桂成    △同 桂      ▲9六香      △8四桂 ▲9三香不成  △同 銀      ▲9五香      △9四歩      ▲8五桂     


桂頭の玉寄せにくし
 図は先手が▲85桂と打った局面。先手が端で攻勢を取っているが後手としてはまだ粘りたいところ。
 本譜△96桂と跳ねたが、▲87玉△88金▲97玉で先手玉が妙に寄せにくくなってしまった。仕方のない△92香に▲66角も絶好である。
 図では△92香▲93桂成△同香▲21飛成△41歩と粘るしかなかったか。なおも▲85桂なら今度は△76桂▲87玉に△75桂が打てる。
 このように、急所の桂は跳ねずに自陣に手を入れ、駒が入ったタイミングで跳ねて勝負する、という姿勢を終盤で心がけたい。
図からの指し手
△9六桂 ▲8七玉      △8八金      ▲9七玉      △9二香      ▲6六角 
   
粘るか、勝負か?
 ▲66角を打った図は先手優勢の終盤戦。本譜は△58ととした。金を取って△98金打が実現すれば面白い。しかし、ここからの先手の寄せは盤に並べていただきたいほど圧巻であった。
 ▲21飛成を利かせてから▲93桂成とし、△69とに▲92成香〜▲94香△同飛に▲93銀。なんとこれで長手数ながら後手玉が詰んでいる。本譜もしっかり先手が詰ましきった。
 さて、図で後手はどうすべきであったか。答えはない。対局相手の終盤力をここまで想定しないならば△58とで金取りを見せるのは十分勝負順として立派な順である。
 一方で△82銀と埋め、以下の図のような粘りを見せることも考えられた。

 埋めすぎると通常は紛れがなくなるが、本局では△58とがいつでも攻めとしてあり、先手も早い攻めを繰り出せないと負けてしまうが先手から簡単な手もパッと見えない。そのため、こちらでプレッシャーをかけた方が逆転の可能性が高いのではないかとも思われる。
 とはいえこれも結果論であり、実際に秒読みでどちらが逆転の可能性が高いかを判断するのは難しい。粘るか、勝負するか、終盤の永遠のテーマだ。
図からの指し手
△5八と ▲2一飛成    △4一歩      ▲9三桂成    △6九と      ▲9二成桂    △同 玉 ▲9四香      △同 飛      ▲9三銀      △8一玉      ▲8二銀打    △同 金 ▲4一龍      △5一香      ▲8二銀成    △同 玉      ▲9三金      △同 飛 ▲5二龍      △同 香      ▲9三角成    △同 玉      ▲8五桂      △8四玉 ▲9四金      △同 玉      ▲9二飛      △8四玉      ▲9三角      △9五玉 ▲7五角成    △9四歩      ▲同飛成      △同 玉      ▲9三桂成
まで113手で先手の勝ち


 投了図以下は△95玉に▲85馬までの詰み。
 本局は高美濃から角交換となり、後手が厳密にはやや無理気味の攻めを通してペースを掴んだが、先手の端からの勝負順がうまく先手が逆転に成功した。そして最後は圧巻の寄せを見せた先手の好局となった、

△同銀▲3三角成以下の手順②▲5五角以下

 今回は▲33角成△同桂に②▲55角と角を打つ手をを検討する。

 この変化は筆者の体感としても非常に良くやられる変化。△42金や△43金の対応は自ら囲いの金を玉から遠のかせる手のためよろしくない。ここは△39角が好手。
 ▲38飛には△66角成がぴったり。以下▲同角△同銀▲67歩に△49角と打てる。

 以下▲28飛に△67銀成から清算する。

 図は既に後手良し。▲68銀のような埋める手は△47竜で次の△67歩が楽しみだ。
 また、▲22角のような手には△66歩!が知る人ぞ知る相穴熊の手筋。▲33角成にべったり△69金と貼り付いて、拠点が生きる形だ。
 戻って△39角に▲58飛も同様に進めて△49角が打てる展開。▲27飛も同様。よって先手から手を変えるなら△49角のラインを避ける▲26飛か▲18飛しかない。
 まず▲26飛から調べる。

 それには後手もじっと△48角成とし、▲28飛に△39馬と進めると千日手模様。後手番なら十分だろう。(端歩などが入った先手番の場合でも、この形で千日手を回避するのは不可能に近い。戦型上妥協は仕方ないだろう。) 
 なお△48角成に▲16飛なら先手の飛車の働きが最悪なので、冷静に△43金くらいで後手優勢。
 次に、△39角に▲18飛はどうか。

 これには先手の飛車の位置が悪いことに着目して、△43金と上がる。

 もっともこの形は、上述した▲26飛〜▲16飛の形と異なり、先手の飛の位置は最悪とまでは言えない。守備駒としてよく利いており、また機を見て▲35歩〜▲38飛の捌きもあるからだ。また、後手の形をみると▲52角の筋が生じたため△66角成はやりにくくなった。そのためこの形は意外にも後手にとって油断ならない。
 とはいえ、すぐの▲35歩〜▲38飛は△84角成▲35飛△34歩で大したことがない。

 ▲35歩を入れずに同様に進めたり、▲37桂のように待ってもやはり△84角成で後手が手厚い。
 そのため、先手としては△84角成のように角を生還されないような組み立てをする必要がある。そこで▲66歩と打つ。

 図では△同銀、△56銀、△76銀全て有力ではあるが、△66銀が一番方針の立てやすい展開で勝ちやすいと思う。
 △同銀には△84角成が消えたことに満足しての▲38飛が狙い。

 ここで△55銀は▲39飛と取られてみると、銀取りと▲52角が残り、後手がまとめにくい。
 よって△67歩と打つ。

 以下▲39飛は△68歩成▲同金寄△67歩▲78金寄△55銀で今度は拠点を築き、かつ銀を手にした後手の条件がよく、後手優勢の終盤である。

 よって、△67歩には▲77銀右が有力。以下、△同銀成▲同角△57角成までは一直線。

 ここで先手は受けも難しいので▲52銀と攻めあうが、ふわりと△65飛が好手。▲43銀成に△68銀と打ち込んでどうか。

 利いている駒の数は先手が勝るが、もう一歩持っているためいつでも△67歩が利くのが大きく、後手勝ちやすい展開と思う。ソフトの評価値は「-1」を示し、千日手模様。どちらにせよ後手番なら満足だろう。
 戻って△67歩に▲同銀もありうる。当然△同銀成とする。

 ここで▲39飛は△78成銀▲同金△68金でどうか。

 △67歩も利き、後手の攻めがうるさい展開だろう。
 また、2つ上の図で△同銀成に▲同金△同飛成まで入れての▲39飛もありうるがこれには△56竜が好手。

 先手は角の処置に困る。▲77角なら△67金のように角に狙いをつけていけばよく、▲37角なら△68歩のように歩で受けられないような垂れ歩攻めで攻めが繋がる。このように、△67歩に▲同銀も後手がやれる。
 以上、▲55角以下の展開は後手が千日手以上となった。全体的に後手が勝つ変化が多く、ありがたい変化と言える。
 次回は△65歩▲同歩△同銀に▲24歩以下の展開を調べたい。



─────────────────────
 筆者の評価(四間目線)
【◎】勝ち〜勝勢
【◯】優勢〜作戦勝ち、勝ちやすそう
【△】悪くない〜難解
【×】作戦負け〜負け
【千】千日手


      基本図
基本図から
△65歩
→▲同歩△同銀
 →▲33角成△同桂
  →▲24歩△66歩
   →▲23歩成△56銀
    →▲33と△67歩成
     →▲同銀△同銀成▲同金△同飛成【◯】
     →▲22飛成△78と▲同金△67歩▲79銀△69角【◎】
     →▲43と△78と▲同金△68飛成▲同飛△67歩▲28飛△69角【◯】
    →▲63歩
     →△27歩
      →▲同飛△67歩成▲同銀△同銀▲同金△49角【△〜◯】
      →▲18飛
       →△49角▲33と△67歩成【△】
       →△55角【△】
    →▲64歩△同飛▲55角△65飛▲33角成△67歩成【◯】
  →▲55角△39角
   →▲38飛△66角成▲同角△同銀▲67歩△49角▲28飛△67銀成▲同銀△同角成▲同金△同飛成
    →▲68銀△47竜【◯】
    →▲22角△66歩▲33角成△69金【◯】
   →▲26飛△48角成
    →▲28飛△39馬【千】
    →▲16飛△43金【◯】
   →▲18飛△43金
    →▲35歩△同歩▲38飛△84角成▲34飛△35歩【◯】
    →▲38飛△84角成【◯】
    →▲66歩△同銀▲38飛△67歩
     →▲39飛△68歩成▲同金寄△67歩▲78金寄△55銀【◯】
     →▲77銀右△同銀成▲同角△57角成▲52銀△65飛▲43銀成△68銀【千〜◯】
     →▲同銀△同銀成
      →▲39飛△78成銀▲同金△68金【◯】
      →▲同金△同飛成▲39飛△56竜
       →▲77角△67金【◯】
       →▲37角△68歩【◯】
 →▲24歩(part8〜)
→▲24歩△同歩
 →▲35歩△66歩▲34歩△44角
  →▲67歩△65銀▲24飛△76銀((a)に合流)
  →▲24飛△65銀
   →▲67歩△62金寄
    →▲37桂△72金寄
     →▲23飛成(b)△46歩▲同歩△47歩
      →▲57銀△48歩成▲同銀△67歩成【◯】
      →▲28龍△35角▲86角△46角▲66歩△76銀▲26龍△36歩▲同龍△68角成▲同金寄△67歩▲69金【◯〜△】
     →▲45桂△35角▲22飛成△67歩成▲同銀△66歩▲58銀△76銀▲68歩△77銀成
      →▲同銀△67角▲同歩△同歩成▲同銀△同飛成【◯〜千】
      →▲同金△59角
       →▲78金△48角成
        →▲69銀△67歩成
         →▲同金△47馬【◯】
         →▲同歩△66歩【◯】
        →▲69銀△46歩▲同歩△同角【◯】
       →▲69銀△67歩成
        →▲同歩△77角成▲同桂△79角成▲同銀△67飛成【◯】
        →▲同金△同飛成▲同歩△77金
         →▲同桂△79角成▲同銀△77角成▲88角△22馬▲同角成△29飛【◎】
         →▲42飛△88金▲同銀△79銀【◯】
       →▲69銀打△46歩▲同歩△47歩▲同銀△48角成▲58銀引△46角【◯】
       →▲46銀△44角▲42龍△67歩成▲同金△88角成
        →▲同金△66歩【◎】
        →▲同玉△15角成▲33歩成△59馬
         →▲69金△58馬▲同金△69銀【◎】
         →▲69銀△67飛成▲同歩△66歩▲同歩△67金【◯】
   →▲23飛成△72金寄
    →▲37桂((b)に合流)
    →▲43龍△35角【◯】
    →▲32龍△46歩▲同歩△47歩
     →▲52龍(省略)
     →▲42龍△76銀
      →▲66角△同角▲同歩△62飛【△】
      →▲66歩△35角【◯】
      →▲44龍△67歩成▲同銀△同銀成
       →▲同金△同飛成【◯】
       →▲62歩△同飛▲63歩△同飛▲64歩△78銀成【△〜千】
   →▲64歩△76銀
    →▲86角△76銀▲77角△76銀【千】
    →▲37桂△77銀成▲同銀△15角
     →▲23飛成△37角成【◯】
     →▲27飛△26歩▲28飛△24角【◯】
    →▲23飛成△64飛(d)▲21龍△67歩成
     →▲44角△78と▲同金△44飛【◯〜△】
     →▲同銀△77角成【◯】
     →▲同金△同銀成
      →▲同銀△77角成【◯】
      →▲44角△68成銀▲同金△44飛【◯】
   →▲23飛成△76銀
    →▲64歩△同飛((d)に合流)
    →▲32龍△62金左
     →▲42龍△77銀成
      →▲同金△35角▲63歩△67歩成
       →▲同銀△77角成【◯】
       →▲同金△88角成▲同玉△66歩▲同金△57銀【△】
      →▲同銀右△72金寄▲44龍△67歩成【△~千】
     →▲63歩△72金寄▲42龍△77銀成
      →▲同金△67歩成
       →▲同銀△77角成▲同桂△24角【◯】
       →▲同金△88角成▲同玉△63飛【◯】
       →▲44龍△77と▲同銀右△66歩【△】
      →▲同銀△67歩成
       →▲同金△63飛【◯〜△】
       →▲44龍△66歩▲同銀△78と▲同金△22角▲33銀△同桂▲同歩成△69銀【◯】
    →▲72歩△同金▲32龍
     →(ソフト最善)△62金左▲63歩△同金右▲86角△54金【△】
     →(ブログ推奨)△62飛
      →▲63歩△同金左▲21龍△74金【△】
      →▲21龍△77銀成▲同金△67歩成
       →▲同銀△77角成【◯】
       →▲同金△88角成▲同金△66歩▲77金右△35角【△〜×】


 →▲65歩△66歩
   →▲35歩△65銀▲34歩△44角
   →▲67歩△35角
    →▲38飛△37歩▲同飛△68角成【◯】
    →▲33歩成△67歩成▲同銀△66歩▲58銀△33桂【◯】
   →▲24飛△76銀
    →▲23飛成△77銀成▲同金△49角
     →▲78銀△67歩成
      →▲同銀直△77角成【◎】
      →▲同金△88角成
       →▲同金△66歩▲77金△67銀【◯】
       →▲同玉△66歩▲77金△76銀▲同金△同馬【◯】
     →▲55銀△67歩成▲同銀△同角成▲同金△同飛成
      →▲68歩△55角
       →▲55歩△61龍【◯】
       →▲67歩△88角成▲同玉△57銀【◯】
      →▲44銀△69金▲同金△同龍▲79金△同龍▲同銀△69金【◯】
     →▲32龍△67歩成
      → ▲同金△同角成▲同銀△同飛成▲52龍△68金【◎】
      →▲72歩△同金▲52龍△68と
       →▲61龍△79と
        →▲72龍△89と▲同玉△71金【◎】
        →▲同銀△71金打【◯】
       →▲72龍△79と
        →▲61龍△89と▲同玉△71金【◎】
        →▲同銀△69飛成【◎】
    →▲64歩△77銀成((c)に合流)
   →▲64歩△76銀▲24飛△77銀成(c)
    →▲同銀右△67角▲63歩成△同飛
     →▲21飛成△78角成▲同金△67歩成【◎】
     →▲68歩△78角成▲同金△67金
      →▲79金△77金▲同銀△67歩成【◎】
      →▲79銀△78金▲同銀△67金▲79金△78金▲同金△67銀
       →▲79金△68銀成【◯】
       →▲79金打△78銀成【千】
    →▲同金△35角打
     →▲23飛成△64飛
      →▲21龍△67歩成【◎】
      →▲55銀△同角▲同歩△76銀▲同金△67歩成▲69歩△68と
       →▲同歩△67歩【◯】
       →▲同金△67歩▲78金△58銀【◯】
     →▲28飛△27歩
      →▲38飛△37歩▲同桂△64飛【◯】
      →▲同飛△64飛
       →▲21飛成△67歩成【◎】
       →▲55銀△同角▲76歩△76銀【◯】

  →▲22歩△同角▲24飛△33角
   →▲34飛△65銀▲64歩△65銀【△】
   →▲23飛成△65銀
    →▲22歩△56銀▲21歩成△67歩成▲33角△66歩▲44桂△42金【◯】
    →▲32龍△42金▲同龍△同角▲52金△64飛打
     →▲61金△同飛▲32飛△33角
      →▲22歩△41金【◯】
      →▲37桂△56銀【◯】
     →▲42金△56銀
      →▲43角△67歩成▲61角成△同飛▲52金△63飛▲67銀△同と▲同金△同飛成
       →▲51飛△24角【◎】
       →▲41飛△63龍【◯】
       →▲68銀△63龍【◯】
       →▲11角成△68銀▲同金△同龍▲79銀△同龍▲同銀△69金
        →▲88馬△55角【◯】
        →▲88銀打△57角【◯】
      →▲52金△63飛上
       →▲55角△67歩成【◯】
       →▲86角△67歩成【◯】
プライバシーポリシー・免責事項 お問い合わせフォーム

このページのトップヘ